退職を機に「独立・起業」を考える方が増えています。しかし、会社員から個人事業主やフリーランスになるには、さまざまな届出や社会保険の切り替えが必要です。
この記事では、退職後に起業する際に必要な届出・手続きの一覧、活用できる支援制度、退職前にやっておくべきことを解説します。
退職後の起業に必要な届出一覧
| 届出 | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業届出書 | 税務署 | 事業開始から1ヶ月以内 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 開業日から2ヶ月以内(1/1〜1/15開業は3/15まで) |
| 個人事業開始申告書 | 都道府県税事務所 | 都道府県により異なる |
| 国民健康保険加入 | 市区町村役場 | 退職後14日以内 |
| 国民年金への切り替え | 市区町村役場 | 退職後14日以内 |
開業届の出し方
開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」が正式名称です。提出方法は3つあります。
- 税務署の窓口:控えに受領印をもらえるため確実
- 郵送:返信用封筒を同封すれば控えを返送してもらえる
- e-Tax:オンラインで完結。マイナンバーカードが必要
青色申告のメリット:開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出すると、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。確定申告時の節税効果が大きいため、開業届と一緒に提出するのがおすすめです。
社会保険の切り替え
健康保険
会社員から個人事業主になると、健康保険の切り替えが必要です。選択肢は3つあります。
- 国民健康保険:市区町村の窓口で手続き。前年の所得に基づいて保険料が決まる
- 任意継続:退職後20日以内に手続き。最長2年間、在職時と同じ健康保険に加入
- 国民健康保険組合:業種によっては加入可能(文芸美術国保、建設国保など)
詳しくは退職後の健康保険ガイドをご覧ください。
年金
厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。市区町村の窓口で退職後14日以内に手続きします。
付加年金の検討:個人事業主は国民年金に「付加年金」(月額400円)を上乗せできます。2年以上年金を受け取れば元が取れるため、加入を検討しましょう。また、国民年金基金やiDeCoを活用して老後資金を備えることも重要です。
起業時に活用できる支援制度
再就職手当(雇用保険)
起業の場合でも、以下の条件を満たせば再就職手当を受給できます。
- 待期期間(7日間)の経過後に事業を開始すること
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 1年を超えて事業を継続する見込みがあること
- 過去3年以内に再就職手当を受けていないこと
創業融資・補助金
| 制度名 | 概要 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|
| 新創業融資制度 | 日本政策金融公庫による無担保・無保証人の融資。上限3,000万円 | 日本政策金融公庫 |
| 新規開業資金 | 日本政策金融公庫の創業向け融資。上限7,200万円 | 日本政策金融公庫 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓等の経費を最大200万円補助 | 商工会議所・商工会 |
| 自治体の創業支援補助金 | 各自治体独自の創業支援制度。内容は自治体により異なる | 市区町村の産業振興課 |
無料の創業支援サービス
- よろず支援拠点:中小企業庁が各都道府県に設置した無料相談所。経営全般の相談が可能
- 商工会議所の創業塾:ビジネスプランの作成支援やセミナーを開催
- DREAM GATE:起業家支援ポータルサイト。無料で専門家に相談できる
退職前にやっておくべきこと
在職中にしかできないこと
以下は退職後では難しくなることが多いため、在職中に済ませておきましょう。
- クレジットカードの作成:個人事業主になると審査が厳しくなるため、在職中に事業用カードを作っておく
- 住宅ローン・賃貸契約:会社員の方が審査に通りやすい
- 事業計画の作成:退職前にビジネスプランをしっかり固めておく
- 副業での実績作り:可能であれば副業として小さく始め、実績を作っておく
- 人脈づくり:取引先やパートナーになりうる関係を構築しておく
- 生活防衛資金の貯蓄:最低6ヶ月〜1年分の生活費を確保しておく
退職代行を利用して起業準備に集中
退職の意思を伝えることに時間やエネルギーを使いたくない場合は、退職代行サービスの利用も選択肢です。退職届の作成・送付・電話通知を任せることで、起業準備に集中できます。
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よくある質問
退職後に起業する場合、失業保険はもらえますか?
起業の準備を始めた時点で「就職した」とみなされるため、原則として失業保険(基本手当)は受給できません。ただし、起業準備期間中に受給を一時停止し、起業がうまくいかなかった場合に受給を再開できる制度があります。また、再就職手当として受け取れるケースもあります。
開業届はいつまでに出す必要がありますか?
事業を開始してから1ヶ月以内に、納税地の税務署に「個人事業の開業届出書」を提出します。届出は義務ですが、提出しなくても罰則はありません。ただし、青色申告や各種控除を受けるために開業届の提出は必須です。
退職後の起業で使える助成金はありますか?
「再就職手当」は起業の場合でも条件を満たせば受給可能です。また、各自治体が独自の創業支援補助金を設けていることがあります。日本政策金融公庫の新創業融資制度や、商工会議所の創業支援も活用できます。
