退職すると、会社で加入していた企業型確定拠出年金(企業型DC)の資格を失います。6ヶ月以内に移換手続きをしないと「自動移換」となり、手数料だけが引かれて資産が目減りしてしまいます。
この記事では、退職後の確定拠出年金の移換手続き、iDeCoへの切り替え方法、放置した場合のリスクを詳しく解説します。
企業型DCとiDeCoの基本
| 企業型DC | iDeCo(個人型DC) | |
|---|---|---|
| 加入対象 | 企業型DCを導入している会社の従業員 | 原則20歳以上65歳未満の全ての方 |
| 掛金負担 | 企業が負担(マッチング拠出で個人追加も可) | 個人が全額負担 |
| 運用商品 | 会社が選定した商品から選択 | 自分で金融機関・商品を選択 |
| 受取開始 | 原則60歳以降 | 原則60歳以降 |
| 税制優遇 | 掛金は非課税、運用益も非課税 | 掛金は全額所得控除、運用益は非課税 |
退職後の移換先パターン
退職後の状況によって、企業型DCの資産の移換先が異なります。
パターン1:転職先に企業型DCがある場合
転職先の企業型DCに資産を移換します。転職先の企業の担当部門(人事・総務)に連絡すれば、手続きを案内してもらえます。
パターン2:転職先に企業型DCがない場合
iDeCo(個人型確定拠出年金)に移換します。自分で金融機関を選んでiDeCo口座を開設し、企業型DCの資産を移換する手続きが必要です。
パターン3:退職後に自営業・フリーランスになる場合
iDeCoに移換します。自営業者(国民年金第1号被保険者)の場合、掛金の上限が月額6.8万円と最も大きくなります。
パターン4:退職後に無職・求職中の場合
iDeCoに移換します。掛金の拠出は任意で、「運用指図者」として掛金を拠出せずに運用のみ行うことも可能です。
重要:いずれのパターンでも、退職後6ヶ月以内に移換手続きを行う必要があります。この期限を過ぎると「自動移換」となり、さまざまなデメリットが生じます。
自動移換のデメリット——6ヶ月を過ぎるとどうなる?
6ヶ月以内に移換手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換には以下のデメリットがあります。
自動移換のデメリット:
- 運用ができない:現金として管理されるだけで、投資信託等での運用ができない
- 手数料が発生:自動移換時に4,348円、毎月管理手数料52円が差し引かれる
- 資産が目減りする一方:運用益はゼロで手数料だけ引かれ続ける
- 老齢給付金の受給資格期間に算入されない:60歳で受け取れなくなる可能性
- 再移換時にも手数料:自動移換後にiDeCo等に移す際に1,100円の手数料が発生
iDeCoへの移換手続き(具体的な手順)
- 金融機関(運営管理機関)を選ぶ:手数料の安さ、運用商品のラインナップ、使いやすさで比較
- iDeCo口座の開設申込:金融機関のWebサイトから申込書を取り寄せる
- 必要書類を記入・提出:加入申出書、事業所登録申請書(会社員の場合)、本人確認書類
- 移換手続き:企業型DCの資産をiDeCoに移す手続き(金融機関が代行)
- 運用商品を選択:口座開設後、移換された資産で購入する商品を選ぶ
手続きにかかる期間:申込書の提出から口座開設・移換完了まで1〜2ヶ月程度かかります。退職後すぐに手続きを始めることをおすすめします。
金融機関選びのポイント
- 口座管理手数料:月額171円〜600円程度(金融機関によって異なる)
- 運用商品の種類:低コストのインデックスファンドが充実しているか
- Webサイト・アプリの使いやすさ:資産状況の確認や商品変更のしやすさ
退職後のiDeCoの掛金上限
| 退職後の状況 | 被保険者種別 | 掛金上限(月額) |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランス | 第1号被保険者 | 68,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 第2号被保険者 | 23,000円 |
| 会社員(企業型DCのみ) | 第2号被保険者 | 20,000円 |
| 会社員(DBあり) | 第2号被保険者 | 12,000円 |
| 公務員 | 第2号被保険者 | 12,000円 |
| 専業主婦・主夫 | 第3号被保険者 | 23,000円 |
※2024年12月以降の制度改正により一部上限が変更されています。最新情報はiDeCo公式サイトで確認してください。
退職代行利用時のiDeCo・企業型DC
退職代行サービスを利用して退職した場合でも、確定拠出年金の移換手続きは通常どおり行えます。移換手続きは自分で金融機関に申し込むものであり、退職方法による影響はありません。
ただし、企業型DCの「加入者資格喪失通知書」は退職後に会社(または運営管理機関)から届きます。届かない場合は運営管理機関に直接問い合わせましょう。
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よくある質問
退職後に企業型DCの移換手続きをしないとどうなりますか?
退職後6ヶ月以内に移換手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。自動移換されると、運用ができず管理手数料(月額52円)だけが引かれ続け、資産が目減りします。移換時に4,348円、毎月52円の手数料が発生するため、必ず期限内に手続きしましょう。
退職後のiDeCoの掛金はどうなりますか?
退職後の状況によって掛金の上限額が変わります。会社員として再就職した場合は企業年金の有無により月額1.2万〜2.3万円、自営業・フリーランスの場合は月額6.8万円が上限です。無職・求職中の場合でも、国民年金第1号被保険者として月額6.8万円まで拠出できます。
企業型DCからiDeCoへの移換手続きは難しいですか?
手続き自体は難しくありません。iDeCoを取り扱う金融機関(運営管理機関)に口座を開設し、移換の手続きをするだけです。金融機関のWebサイトから申込書を取り寄せ、必要事項を記入して郵送します。手続きから移換完了まで1〜2ヶ月程度かかります。
