妊娠を機に退職を考えている方にとって、「出産手当金や育児休業給付金はどうなるのか」は最も気になるポイントです。退職のタイミングによって受け取れる金額が大きく変わるため、事前に制度を理解しておくことが重要です。
この記事では、退職後の出産手当金・育児休業給付金の受給条件、退職すべきタイミング、手続き方法を詳しく解説します。
出産手当金とは
出産手当金は、健康保険から支給される給付金で、出産のために仕事を休んだ期間の所得を補償する制度です(健康保険法102条)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 標準報酬日額の3分の2 × 日数 |
| 支給期間 | 出産予定日の42日前(多胎は98日前)〜出産後56日 |
| 支給元 | 健康保険組合・協会けんぽ |
| 対象者 | 健康保険の被保険者(国民健康保険は対象外) |
支給額の計算例
月収30万円の場合:
標準報酬日額 = 30万円 ÷ 30日 = 10,000円
出産手当金日額 = 10,000円 × 2/3 = 約6,667円
支給総額(98日間) = 6,667円 × 98日 = 約653,366円
退職後に出産手当金を受け取る条件
退職後でも出産手当金を受給できるケースがあります。以下の3つの条件を全て満たす必要があります。
退職後の出産手当金の3つの条件:
- 退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していた
- 退職日が出産手当金の支給期間内(出産予定日の42日前以降)である
- 退職日に出勤していない(有給消化中・欠勤中であること)
特に注意:3番目の条件——退職日に1日でも出勤すると、退職後の出産手当金は受給できなくなります。退職日は必ず休み(有給消化含む)にしてください。
出産手当金を受け取れる退職タイミング
出産予定日が7月1日の場合の例:
| 退職日 | 出産手当金 | 理由 |
|---|---|---|
| 5月20日(42日以上前) | 受給不可 | 退職日が支給期間外 |
| 5月21日(42日前) | 受給可能 | 支給期間内+退職日に出勤しないこと |
| 6月15日 | 受給可能 | 支給期間内+退職日に出勤しないこと |
育児休業給付金とは
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金で、育児休業中の所得を補償する制度です(雇用保険法61条の7)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 最初の180日:休業開始時賃金の67%、181日目以降:50% |
| 支給期間 | 原則、子が1歳になるまで(最大2歳まで延長可能) |
| 支給元 | ハローワーク(雇用保険) |
| 受給条件 | 育児休業開始前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間 |
退職後に育児休業給付金は受け取れない
育児休業給付金は「育児休業中の雇用保険被保険者」に対して支給されるものです。退職すると雇用保険の被保険者資格を失うため、退職後に育児休業給付金を受け取ることはできません。
経済的に有利な選択:育児休業給付金は月収の50〜67%が最大2年間支給される大きな給付です。可能であれば、育児休業を取得して給付金を受け取ってから退職する方が経済的に有利です。
出産・育児に関するその他の給付金
出産育児一時金
出産時に50万円(2023年4月〜)が支給される制度です。健康保険・国民健康保険いずれに加入していても受給可能で、退職後でも受け取れます。
- 退職後6ヶ月以内の出産であれば、退職前の健康保険から支給可能
- 国民健康保険に切り替え済みの場合は、国保から支給
- 配偶者の扶養に入った場合は、配偶者の健康保険から支給
児童手当
子どもが生まれたら児童手当の申請を行いましょう。出生日の翌日から15日以内に市区町村に申請する必要があります。所得制限の撤廃(2024年10月〜)により、全ての世帯が受給対象です。
失業保険の受給期間延長
妊娠・出産・育児のためにすぐに働けない場合、失業保険(基本手当)の受給期間を延長できます(最大4年間)。
- 対象:退職後30日以上継続して就業できない方
- 申請期限:就業できない状態が30日を超えた日の翌日から1ヶ月以内
- 申請先:管轄のハローワーク
- 効果:通常1年間の受給期間が最大4年間に延長される
受給期間の延長は「もらえる金額が増える」のではなく、「もらえる期間の期限が延びる」制度です。育児が落ち着いてから就職活動を始めた際に、失業保険を受給できるようになります。
妊娠中の退職と退職代行
つわりがひどい場合やマタハラ(マタニティハラスメント)を受けている場合など、妊娠中に退職を決断するケースがあります。退職代行サービスを利用すれば、会社と直接やり取りすることなく退職手続きを進められます。
退職前に確認すべきこと:
- 出産手当金の受給条件を満たす退職日になっているか
- 退職日に出勤扱いにならないか(有給消化または欠勤であること)
- 健康保険に1年以上継続加入しているか
退職エクスプレスでは、LINEでの無料相談を通じて退職のタイミングについてもご相談いただけます。出産手当金の受給に影響が出ない退職日の設定など、状況に応じたサポートを提供します。
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よくある質問
退職後でも出産手当金はもらえますか?
はい、以下の条件を全て満たせば退職後でも出産手当金を受給できます。(1)退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していた、(2)退職日が出産手当金の支給期間内(出産予定日の42日前〜出産後56日)である、(3)退職日に出勤していない。この3つの条件を満たせば退職後も継続して受給可能です。
退職後に育児休業給付金はもらえますか?
残念ながら、退職後に育児休業給付金を新たに受給することはできません。育児休業給付金は「育児休業中の雇用保険被保険者」に支給されるものであり、退職すると雇用保険の被保険者資格を失うためです。妊娠中の退職を検討する場合は、育児休業給付金の受給を終えてから退職するのが経済的に有利です。
妊娠中に退職代行を使うことはできますか?
はい、妊娠中でも退職代行サービスは利用できます。つわりがひどい、マタハラを受けているなどの理由で直接退職を伝えることが困難な場合に、退職届の作成・送付・電話通知を代行します。ただし、退職のタイミングによって受け取れる手当が変わるため、出産手当金の受給条件を確認してから退職時期を決めることをおすすめします。
