「退職届を出してから2週間で退職できる」——これは民法627条に基づくルールで、会社の承諾なく退職が成立する法的根拠です。しかし、「2週間」の起算日やカウント方法を正しく理解していないと、退職日の計算を間違えてしまうことがあります。
この記事では、2週間ルールの法的根拠、起算日の数え方、退職日の具体的な計算例を詳しく解説します。
「2週間ルール」の法的根拠——民法627条
民法第627条第1項:
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
この条文のポイントは3つです。
- 「期間を定めなかったとき」:正社員などの無期雇用契約が対象
- 「いつでも解約の申入れをすることができる」:退職の自由は法律で保障されている
- 「二週間を経過することによって終了する」:会社の承諾は不要。退職届が届いてから2週間で自動的に退職が成立
2週間の起算日と退職日の計算方法
起算日の考え方
民法140条の「初日不算入の原則」により、退職届が会社に到達した日は算入せず、翌日から起算します。
具体例:退職届が4月1日(火曜日)に届いた場合
起算日:4月2日(水曜日)
2週間の満了日:4月15日(火曜日)
退職日:4月15日
注意:退職届が「届いた日」が重要
2週間の起算点は、退職届を「出した日」ではなく「届いた日」です。
| 届け方 | 到達日の考え方 |
|---|---|
| 手渡し | 渡した日 = 到達日 |
| 郵送 | 会社に届いた日 = 到達日(配達完了日) |
| メール | 相手が閲覧可能な状態になった日 = 到達日(民法97条) |
| 退職代行の電話通知 | 電話で伝達した日 = 到達日 |
退職届の到達を確実にする方法:退職エクスプレスでは、メール・電話通知・郵送の3手段で退職届を届けます。複数の手段を併用することで、到達の確実性を高めています。
退職日の具体的な計算例
| 到達日 | 起算日 | 退職日(2週間後) |
|---|---|---|
| 4月1日(火) | 4月2日(水) | 4月15日(火) |
| 4月7日(月) | 4月8日(火) | 4月21日(月) |
| 4月15日(火) | 4月16日(水) | 4月29日(火) |
| 4月30日(水) | 5月1日(木) | 5月14日(水) |
※土日祝日は2週間のカウントに含まれます。「営業日」ではなく「暦日」で数えます。
就業規則の「1ヶ月前」との関係
多くの企業の就業規則には「退職する場合は1ヶ月前までに届け出ること」と記載されています。この場合、民法627条の2週間と就業規則の1ヶ月前、どちらが優先されるのでしょうか。
通説:民法627条が優先
労働法の通説・判例では、民法627条の2週間が優先されるとされています。理由は以下のとおりです。
- 民法627条は強行規定と解されており、就業規則で労働者に不利な内容を定めても無効
- 就業規則は労働者の退職の自由を不当に制限できない
- 高野メリヤス事件(東京地裁昭和51年10月29日判決)では、就業規則の退職予告期間の定めにかかわらず、民法627条の2週間で退職が成立するとされた
ただし:円満退職を目指す場合は、就業規則に従って1ヶ月前に届け出るのがマナー的には望ましいです。法的に2週間で退職できるとしても、業務の引き継ぎ期間として合理的な配慮をすることは、トラブル防止の観点から有効です。
2週間ルールが適用されないケース
有期雇用契約(契約社員・期間工など)の場合
雇用期間が定められている場合は、民法627条ではなく民法628条が適用されます。原則として契約期間の途中で一方的に退職することはできず、「やむを得ない事由」が必要です。
ただし、以下の例外があります。
- 労働基準法137条:契約期間の初日から1年を経過した後は、いつでも退職可能
- やむを得ない事由:パワハラ、賃金未払い、契約内容と異なる労働条件など
月給制で期間をもって報酬を定めた場合
民法627条2項では、月給制の場合は「当期の前半」に申し入れをする必要があるとされています。ただし、この規定の適用は限定的であり、最高裁判例でも民法627条1項の2週間が適用されるケースが多いとされています。
有給消化と2週間ルールの組み合わせ
2週間ルールと有給消化を組み合わせれば、退職届を出した翌日から出勤しないことも可能です。
例:有給残日数14日以上の場合
4月1日:退職届が会社に到達
4月2日〜4月15日:有給休暇を消化(14日間)
4月15日:退職日
→ 退職届を出した翌日から一度も出勤せずに退職完了
有給休暇は労働基準法39条で保障された労働者の権利であり、会社は原則として拒否できません。退職代行を利用すれば、有給消化の希望も退職届に記載して伝達します。
退職届の作成・送付をまるごと代行
退職エクスプレスがメール・電話通知・郵送の3手段で退職届を届けます。パート・アルバイト9,800円、正社員・契約社員12,800円。
よくある質問
退職届を出してから本当に2週間で辞められますか?
はい。民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、退職届が会社に届いた日から2週間で退職が成立します。会社の承諾は法律上不要です。ただし、有期雇用契約の場合は別の規定が適用されます。
2週間の起算日はいつですか?
起算日は退職届が会社に「到達した日の翌日」です(民法140条・初日不算入の原則)。例えば4月1日に退職届が届いた場合、4月2日が起算日で、4月15日が2週間の満了日(退職日)となります。
就業規則で「1ヶ月前」と書いてあっても2週間で辞められますか?
法的には民法627条の2週間が優先されるというのが通説・判例です。就業規則の「1ヶ月前までに届出」という規定は、業務引き継ぎの観点から設けられたものですが、労働者の退職の自由を制限することはできないとされています。
