退職代行を使って無事に退職できたと思ったのに、会社から嫌がらせや報復行為を受ける——こうしたトラブルは退職代行の「失敗」の中でも精神的なダメージが大きい問題です。
しつこい電話・メール、私物の返却拒否、離職票の不交付、元同僚を使った接触、SNSでの誹謗中傷——退職後の嫌がらせには様々なパターンがあります。この記事では、退職代行後に会社から嫌がらせを受けた場合の具体的な対処法と、法的手段を解説します。
退職代行後に起こりうる嫌がらせの6つのパターン
パターン1:しつこい電話・メール攻撃
ケース
退職代行で退職届を送付した翌日から、上司・人事部・社長から1日に何十回も電話がかかってくる。「なぜ直接言わないのか」「退職代行なんか使って恥ずかしくないのか」「出社して説明しろ」といったメッセージが大量に送られてきた。
対処法:退職手続き上必要な連絡(書類の送付先確認、貸与品の返却方法など)以外は応答する義務はありません。嫌がらせ目的の連絡は無視してください。着信記録やメッセージのスクリーンショットは証拠として保存しておきましょう。あまりにしつこい場合は、ストーカー規制法や迷惑防止条例に基づいて警察に相談できます。
パターン2:私物・貸与品の返却トラブル
ケース
会社のロッカーに入れていた私物(衣類、私用の道具、写真など)を「取りに来ないと捨てる」と脅された。逆に、会社の備品(PC、社員証)を返却しようとしたが「直接持ってこい。郵送は受け付けない」と拒否された。
対処法:私物の返却は会社の義務です。「取りに来い」と要求されても、郵送での返却を求めることができます。会社の備品は郵送で返却し、配達記録を残しておきましょう。会社が郵送を拒否しても、送付して配達記録があれば返却したことの証拠になります。
パターン3:離職票・源泉徴収票の不交付
ケース
退職から2週間以上経過しても離職票が届かない。会社に問い合わせると「退職代行を使うような人間に書類を出す義務はない」と拒否された。失業保険の手続きができず、生活に支障が出た。
対処法:離職票の交付は雇用保険法76条3項で会社に義務付けられています。会社が交付しない場合は、ハローワークに相談してください。ハローワークから会社に対して交付の指導が行われます。源泉徴収票も所得税法226条で交付が義務付けられており、交付されない場合は税務署に相談できます。
- 離職票が届かない → ハローワーク(最寄りの公共職業安定所)
- 源泉徴収票が届かない → 税務署
- 健康保険の資格喪失証明書が届かない → 年金事務所
パターン4:元同僚を使った接触・情報収集
ケース
退職後、元同僚から「会社の指示で連絡している」「上司が怒っているから一度話をした方がいい」「なぜ退職代行を使ったのか教えてほしい」といった連絡が来た。
対処法:元同僚からの連絡が会社の指示によるものであれば、応答する義務はありません。「退職手続きは完了しています。会社とのやり取りは不要です」と伝えるか、無視してください。元同僚との個人的な関係を維持したい場合は、「会社の件については対応できない」と伝えた上で、個人的な話題に限定しましょう。
パターン5:損害賠償の脅し
ケース
退職後に会社から「急な退職により業務に支障が出た。損害賠償100万円を請求する」という内容の書面が届いた。
対処法:退職は民法627条で認められた労働者の正当な権利です。正当な権利の行使による損害は、原則として賠償の対象になりません。多くの場合、損害賠償の脅しは実際に訴訟を起こすつもりはなく、嫌がらせ目的です。ただし、万が一訴状が届いた場合は、速やかに弁護士に相談してください。無視すると敗訴するリスクがあります。
パターン6:SNS・口コミでの誹謗中傷
ケース
退職後に、元上司がSNSで「退職代行を使って逃げた卑怯な社員がいた」「あの人は仕事もできなかった」といった投稿を行った。個人が特定できる内容だった。
対処法:SNSでの誹謗中傷は名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当する可能性があります。投稿のスクリーンショットを証拠として保存し、警察への相談や弁護士を通じた削除請求・損害賠償請求を検討してください。
嫌がらせに対する法的手段
退職後の嫌がらせが悪質な場合、以下の法的手段を検討できます。
嫌がらせを受けにくくするための予防策
退職代行後の嫌がらせを完全に防ぐことは難しいですが、以下の予防策でリスクを減らせます。
- 退職届に退職日を明記し、法的に有効な形で送達する
- 会社の備品(PC、社員証、制服等)は退職届送付と同日に郵送で返却する
- 引き継ぎ書類を可能な範囲で準備しておく
- 私物は事前に少しずつ持ち帰っておく
- 退職代行の利用を社内の人に事前に知らせない
- 会社からの連絡に対する対応方針を事前に決めておく
退職エクスプレスの退職後サポート
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まとめ:嫌がらせには毅然とした対応を
退職代行後の嫌がらせは、会社が退職を認めたくない・感情的に納得できないという心理から来るものがほとんどです。しかし、退職は法律で認められた正当な権利であり、嫌がらせを受ける理由はありません。
しつこい連絡は無視し、書類の不交付は公的機関に相談し、悪質な嫌がらせには法的手段で対抗する——毅然とした対応が重要です。嫌がらせの証拠(着信記録、メッセージ、スクリーンショット等)は必ず保存しておいてください。
退職代行の失敗事例をもっと詳しく知りたい方は、退職代行の失敗事例10選|失敗する原因と確実に退職するための対策もあわせてご覧ください。
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よくある質問
退職代行を使った後に会社から嫌がらせを受ける確率は高いですか?
多くの会社は退職届を受け取った後、粛々と退職手続きを進めます。嫌がらせを行うケースは全体から見れば少数ですが、パワハラ体質の会社やワンマン経営の会社では報復的な行動を取ることがあります。
退職後に会社から何度も電話がかかってきます。対処法は?
退職手続き上必要な連絡であれば対応が必要ですが、嫌がらせ目的の連絡は無視して構いません。あまりにしつこい場合は、着信記録を保存した上で警察への相談や、弁護士を通じた警告書の送付を検討してください。
会社が離職票を出してくれない場合はどうすればいいですか?
会社には離職票を交付する法的義務があります(雇用保険法76条3項)。会社が対応しない場合は、ハローワークに相談してください。ハローワークから会社に対して離職票の交付を指導してくれます。
退職後に損害賠償を請求すると脅されました。本当に請求されますか?
通常の退職で損害賠償が認められることはほぼありません。これは退職を後悔させるための威圧的な手段であることがほとんどです。実際に訴状が届いた場合は弁護士に相談してください。
