「退職代行を使いたいけれど、退職金がもらえなくなったらどうしよう」——そんな不安を抱えている方は少なくありません。長年勤めた会社を退職するとき、退職金は大切な生活資金です。
結論から言うと、退職代行を使っても退職金を受け取る権利は失われません。この記事では、退職金の基本的な仕組みから、退職代行利用時の注意点、万が一支払われない場合の対処法まで詳しく解説します。
退職代行を使っても退職金はもらえるのか
退職金は、就業規則や退職金規程に基づいて支給されるものです。退職届の提出方法(本人が手渡しするか、退職代行を利用するか)は、退職金の支給条件とは無関係です。
労働基準法第11条では、退職金(退職手当)は「賃金」に該当すると定められています。就業規則に退職金の支給が明記されている場合、会社にはそれを支払う法的義務があります。退職代行を使ったことを理由に退職金を不支給・減額にすることは、就業規則違反であり違法となります。
ポイント:退職金の支給は「退職届をどのように提出したか」ではなく、「就業規則・退職金規程の支給条件を満たしているか」で決まります。退職代行の利用は支給条件に一切影響しません。
退職金制度の基本を理解しよう
退職金に関する不安を解消するために、まず退職金制度の基本を押さえておきましょう。
退職金は法律上の義務ではない
意外に思われるかもしれませんが、退職金の支給は法律で義務付けられていません。退職金は、会社が就業規則や退職金規程で独自に定める制度です。したがって、退職金制度がない会社では、そもそも退職金は発生しません。
退職金制度がある場合は支払い義務が発生する
一方で、就業規則に退職金制度が明記されている場合は、労働基準法第89条により、会社はその規定に従って退職金を支払う義務があります。退職代行を利用したかどうかに関係なく、規定の条件を満たせば退職金は支給されなければなりません。
退職金の支給条件を確認する方法
退職金がもらえるかどうかは、以下の書類で確認できます。
- 就業規則(退職金に関する規定)
- 退職金規程(別途定められている場合)
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 入社時に受け取った労働条件に関する書類
退職金の計算方法と相場
退職金の計算方法は会社ごとに異なりますが、主に以下の方式が採用されています。
基本給連動型
退職時の基本給に勤続年数に応じた支給率を掛けて計算する方式です。例えば、基本給30万円×勤続10年の支給率5.0=150万円のように計算されます。多くの中小企業で採用されている方式です。
ポイント制
勤続年数や役職、業績評価などに応じてポイントを積み立て、退職時にポイント単価を掛けて退職金を算出する方式です。大企業を中心に導入が進んでいます。
定額制
勤続年数ごとに定額の退職金が設定されている方式です。例えば、勤続3年で30万円、勤続5年で80万円のように、あらかじめ金額が決まっています。
参考データ:厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、大卒・勤続20年以上の自己都合退職の場合、退職金の平均額は約1,500万円前後です。ただし企業規模や業種によって大きく異なります。
自己都合退職と会社都合退職で退職金は変わる
退職代行を利用した場合、退職理由は「自己都合退職」として処理されます。自己都合退職と会社都合退職では、退職金の支給額に差が出ることがあります。
自己都合退職の退職金
自己都合退職の場合、多くの企業では退職金の支給率が低く設定されています。例えば、会社都合退職の支給率が100%であるのに対し、自己都合退職では60〜80%程度に設定されているケースが一般的です。
勤続年数による制限
自己都合退職の場合、「勤続3年未満は退職金不支給」のように、最低勤続年数が設けられていることがあります。退職前に就業規則を確認し、自分が支給条件を満たしているかチェックしましょう。
注意:退職代行を利用する前に、退職金の支給条件(最低勤続年数・支給率など)を確認しておくことをおすすめします。就業規則が手元にない場合は、退職代行の無料相談時にスタッフにお伝えください。
退職金が支払われない場合の対処法
就業規則に退職金制度が定められているにもかかわらず支払われない場合、以下の手順で対処できます。
1. 会社に書面で請求する
まずは退職金の支払いを書面(メールまたは郵送)で会社に請求しましょう。支払期限と支払先口座を明記し、記録が残る形で送ります。
2. 労働基準監督署に相談する
会社が請求に応じない場合は、最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。就業規則に基づく退職金の未払いは、労働基準法違反に該当します。労働基準監督署から会社に対して是正勧告が行われることがあります。
3. 弁護士に相談する
労働基準監督署の指導でも解決しない場合は、弁護士に相談して法的措置を検討しましょう。少額であれば少額訴訟(60万円以下)、高額であれば通常訴訟で退職金の支払いを求めることができます。
退職代行利用時に退職金について気をつけること
退職代行をスムーズに利用しつつ、退職金も確実に受け取るために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 事前に就業規則を確認する:退職金制度の有無、支給条件、計算方法を把握しておく
- 退職届に退職金の振込先を記載する:退職届に銀行口座情報を添えておくと、スムーズに振り込まれやすい
- 退職金が振り込まれない場合に備える:退職後1〜2か月経っても振り込みがない場合は、書面で請求する準備をしておく
- 退職金にかかる税金を把握する:退職金には「退職所得控除」が適用され、通常の給与よりも税負担が軽くなる
退職所得控除の計算:勤続20年以下の場合は「40万円×勤続年数」、勤続20年超の場合は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」が控除額となります。この控除額を超えた部分の1/2に対してのみ課税されます。
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よくある質問
退職代行を使うと退職金が減額されますか?
退職代行を利用したことを理由に退職金を減額することは法的に認められていません。退職金は就業規則や退職金規程に基づいて支給されるものであり、退職届の提出方法は支給額に影響しません。
退職金はいつ振り込まれますか?
一般的には退職日から1〜2か月以内に振り込まれます。就業規則や退職金規程に支払時期が定められている場合は、その規定に従います。振り込みが遅れる場合は労働基準監督署に相談できます。
退職金がもらえない場合はどうすればいいですか?
まず就業規則・退職金規程を確認してください。規程に基づく退職金が支払われない場合は、労働基準監督署への相談や、弁護士を通じた請求が可能です。
パート・アルバイトでも退職金はもらえますか?
退職金制度がパート・アルバイトにも適用される就業規則であれば支給されます。ただし、多くの企業ではパート・アルバイトは退職金制度の対象外としているケースが多いのが現実です。
