「退職代行を使ったら退職理由はどうなるの?」「自己都合退職になるの?それとも会社都合?」——退職代行の利用を検討している方にとって、退職理由がどう扱われるかは気になるポイントです。

退職理由は失業保険の給付額や給付開始時期に直結するため、正しく理解しておく必要があります。この記事では、退職代行を利用した場合の退職理由の扱い、離職票の記載内容、失業保険への影響について法的根拠をもとに詳しく解説します。

退職代行利用時の退職理由は「自己都合」が原則

退職代行を利用して退職する場合、退職理由は原則として「自己都合退職」になります。これは退職代行の利用有無に関わらず、労働者側から退職の意思表示をした場合は基本的に自己都合退職として扱われるためです。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、労働者自身の意思や事情によって退職することを指します。転職、家庭の事情、体調不良、人間関係の悩みなど、退職の動機が労働者側にある場合が該当します。民法627条に基づく退職の意思表示は、すべて自己都合退職の枠組みの中で行われます。

離職票には何と記載されるか

離職票の退職理由欄には「自己都合退職」「一身上の都合による退職」「労働者の個人的な事情による離職」などと記載されるのが一般的です。「退職代行を利用した」という事実が離職票に記載されることはありません。退職代行はあくまで退職届の送達手段であり、退職理由そのものではないからです。

ポイント:退職代行を使ったことが離職票や退職証明書に記載されることは一切ありません。会社側も退職代行の利用を退職理由として記録する法的義務はなく、実務上もそのような記載は行われていません。

自己都合退職と会社都合退職の違い

退職理由が自己都合か会社都合かによって、失業保険の受給条件が大きく異なります。両者の違いを正確に理解しておきましょう。

失業保険の給付制限

自己都合退職の場合、7日間の待期期間に加えて原則2か月間の給付制限期間があります(雇用保険法33条)。つまり、退職後すぐには失業保険を受け取れません。一方、会社都合退職の場合は7日間の待期期間のみで給付が始まります。

給付日数の違い

自己都合退職の場合、失業保険の所定給付日数は90〜150日です。一方、会社都合退職の場合は90〜330日と大幅に長くなります。特に勤続年数が長い場合やの年齢が高い場合、この差は非常に大きくなります。

国民健康保険料の減免

会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合、国民健康保険料の軽減措置を受けられる可能性があります。前年の給与所得を100分の30として保険料が計算されるため、大幅な減額が期待できます。

自己都合退職 vs 会社都合退職の比較表

【自己都合退職】
・待期期間:7日+給付制限2か月
・給付日数:90〜150日
・国保減免:なし

【会社都合退職】
・待期期間:7日のみ
・給付日数:90〜330日
・国保減免:あり(所得を30%として計算)

会社都合退職になるケース

退職代行を利用した場合でも、退職の原因が会社側にある場合は会社都合退職(特定受給資格者)として認定される可能性があります。具体的には以下のようなケースが該当します。

解雇された場合

会社から解雇通告を受けた場合は会社都合退職です。ただし、退職代行は労働者側から退職の意思表示をするサービスですので、このケースは一般的ではありません。

退職勧奨を受けた場合

会社から退職を勧められ、それに応じて退職した場合は会社都合退職として扱われます。退職勧奨を受けていた事実を証明できる記録(メール、録音など)があれば、ハローワークで認定を受けられます。

労働条件の相違があった場合

求人票や雇用契約書に記載された労働条件と実際の労働条件が著しく異なっていた場合、特定受給資格者として認定される可能性があります(雇用保険法施行規則36条)。具体的には、給与額の大幅な相違、勤務地の変更、業務内容の変更などが該当します。

特定理由離職者として認定されるケース

自己都合退職であっても、「特定理由離職者」として認定されれば、給付制限なしで失業保険を受給できます。以下のケースが該当します。

パワハラ・セクハラが原因の場合

パワハラやセクハラが退職の原因である場合、特定受給資格者として認定される可能性が高いです。ハローワークに対して、ハラスメントの事実を証明できる資料(メール、LINE、録音、医師の診断書など)を提出することで認定を受けられます。

長時間労働が原因の場合

離職の直前6か月間のうち、いずれか連続する3か月で月45時間を超える時間外労働があった場合、または直前の1か月で100時間を超える時間外労働があった場合は、特定受給資格者に該当します。タイムカードや給与明細で残業時間を証明できることが重要です。

給料の未払い・遅延がある場合

賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が2か月以上連続した場合、または離職前6か月のうち3か月以上あった場合は、特定受給資格者として認定されます。

退職理由のご相談もお気軽にどうぞ

退職エクスプレスでは、退職届の送達だけでなく、退職後の手続きについてもサポートします。パート・アルバイト9,800円、正社員・契約社員12,800円。

ハローワークでの異議申立て方法

離職票に記載された退職理由に納得できない場合、ハローワークで異議申立てを行うことができます。この手続きは退職者本人が行うもので、退職代行サービスが代行することはできません。

異議申立ての手順

離職票を持参してハローワークに行き、退職理由について異議を申し立てます。ハローワークは会社側と労働者側の双方から事情を聴取し、退職理由を判定します。パワハラや長時間労働などの証拠があれば、離職票の退職理由が変更される可能性があります。

証拠として有効なもの

転職先への退職理由の伝え方

退職理由は転職活動にも影響します。面接で退職理由を聞かれた際、退職代行を利用したことを伝える必要があるかどうか、気になる方も多いでしょう。

退職代行の利用は伝えなくてよい

退職代行を利用したことを転職先に伝える法的義務はありません。面接では「一身上の都合で退職しました」「キャリアの方向性を見直したいと思い退職しました」など、一般的な退職理由を伝えれば問題ありません。

前向きな退職理由に変換する

面接では退職理由をネガティブに伝えるのではなく、前向きな言い方に変換することが大切です。「人間関係が悪かった」ではなく「チームワークを重視する環境で働きたい」、「残業が多すぎた」ではなく「ワークライフバランスを大切にして効率的に成果を出したい」など、ポジティブな表現を心がけましょう。

まとめ:退職代行を使った場合の退職理由は原則「自己都合退職」ですが、パワハラ・セクハラ・長時間労働・給料未払いなどが原因の場合は、ハローワークで特定受給資格者・特定理由離職者として認定される可能性があります。離職票に退職代行を利用した事実が記載されることはなく、転職先に伝える義務もありません。

退職エクスプレス編集部

この記事を書いた人

退職エクスプレス編集部|退職代行サービスに関する正確な情報を、法的根拠に基づいてお届けします。退職に悩む全ての方が、安心して次の一歩を踏み出せるようサポートします。

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律相談ではありません。個別の事案については弁護士や各公的機関にご相談ください。退職エクスプレスは退職届の作成・送付・電話通知による退職意思の伝達を代行するサービスであり、会社との交渉は行いません。

よくある質問

退職代行を使うと自己都合退職になりますか?

はい、退職代行を利用した場合は原則として「自己都合退職」扱いになります。ただし、パワハラや給料未払いなど会社側に原因がある場合は、ハローワークで「特定受給資格者」や「特定理由離職者」として認定される可能性があります。

退職理由によって失業保険の給付は変わりますか?

大きく変わります。自己都合退職の場合は7日間の待期期間に加え2か月の給付制限がありますが、会社都合や特定理由離職者の場合は待期期間7日間のみで給付が開始されます。

離職票の退職理由に「退職代行利用」と書かれますか?

書かれません。離職票には「自己都合退職」「一身上の都合」などと記載されるのが一般的です。退職代行を利用したこと自体が離職票に記載されることはありません。

退職理由を会社都合に変更してもらうことはできますか?

退職代行サービスが交渉することはできませんが、パワハラ・セクハラ・長時間労働などの事実がある場合、ハローワークに異議申立てをすることで退職理由が変更されるケースがあります。