退職届を提出した後、「もう明日から来なくていい」「退職日まで自宅待機してくれ」と会社から言われるケースがあります。特に退職代行を利用した場合に、会社が出勤を拒むことは珍しくありません。
この場合、退職日までの給料は支払われるのか?有給休暇はどうなるのか?——意外と知られていない「自宅待機命令」の法的な扱いを解説します。
自宅待機命令とは?3つのパターン
退職前後の「自宅待機」にはいくつかのパターンがあり、法的な扱いが異なります。
| パターン | 内容 | 給与の扱い |
|---|---|---|
| 会社都合の自宅待機 | 会社が出勤を拒否し、自宅待機を命令 | 原則全額支給(最低でも休業手当60%以上) |
| 懲戒処分としての出勤停止 | 就業規則違反等に対する懲戒処分 | 出勤停止期間は無給の場合が多い |
| 合意による自宅待機 | 労使の合意で退職日まで出勤しないことを取り決め | 合意内容による |
会社都合の自宅待機|給料は支払われる
退職届を提出した後、会社の判断で「もう来なくていい」と自宅待機を命じた場合、これは会社都合の休業にあたります。
労働基準法第26条(休業手当):
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」
つまり、最低でも平均賃金の60%以上の休業手当が支払われます。さらに、民法第536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」として、全額の賃金請求権があるとする判例もあります。
具体的なシミュレーション
ケース:月給25万円の正社員が退職届提出後に2週間の自宅待機を命じられた場合
最低保障(休業手当60%):
平均賃金の日額:25万円 × 3ヶ月 ÷ 90日 = 約8,333円
休業手当:8,333円 × 60% × 14日 = 約69,997円
全額請求(民法上の賃金請求権):
25万円 ÷ 月の所定労働日数(22日)× 10日(土日除く)= 約113,636円
自宅待機中に有給休暇を使わせるのは違法?
会社が自宅待機を命じておきながら、「有給休暇を使って休め」と指示するケースがあります。しかし、有給休暇は労働者が自ら取得を請求するものであり、会社が一方的に有給消化を命じることは原則としてできません。
有給休暇と自宅待機の関係:
- 自宅待機は会社都合の休業であり、有給休暇を使う必要はない
- 労働者が自ら「有給を使いたい」と申し出た場合は有給消化として扱える
- 有給休暇の方が100%の給与が支給されるため、労働者にとって有利な場合もある
- 残った有給休暇を退職前に消化したい場合は、自宅待機ではなく有給消化を希望する旨を伝える
注意:自宅待機期間中に有給休暇を取得した場合、その日数分の有給休暇は消費されます。退職後に有給休暇の買取りを期待している場合は注意が必要です(法律上、有給休暇の買取りは原則として認められていませんが、退職時の未消化分については認める会社もあります)。
退職代行利用時の自宅待機
退職代行を利用して退職届を送達した場合、会社が「退職日まで出勤しなくてよい」と回答するケースは少なくありません。これは事実上の自宅待機命令です。
ケース:退職代行を利用したGさん(26歳・正社員)
パワハラに耐えかねて退職エクスプレスに依頼したGさん。退職届の送達後、会社から「退職日まで出勤不要。退職日は2週間後の◯月◯日」との回答がありました。Gさんには有給休暇が12日残っていたため、退職エクスプレスを通じて「有給休暇の消化を希望します」と伝え、有給消化後に退職が成立しました。
結果的に、有給消化分は100%の給与が支給され、残りの2日間は自宅待機として休業手当が支給されました。
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懲戒処分としての出勤停止との違い
自宅待機と混同されやすいのが、懲戒処分としての出勤停止です。
| 比較項目 | 会社都合の自宅待機 | 懲戒処分の出勤停止 |
|---|---|---|
| 理由 | 業務上の都合、退職に伴う措置 | 就業規則違反、重大な非違行為 |
| 給与 | 全額または休業手当(60%以上) | 無給が一般的 |
| 期間 | 状況による | 就業規則に定められた期間(1〜14日程度) |
| 手続き | 業務命令 | 懲戒手続き(弁明の機会の付与等) |
退職届を出しただけで懲戒処分は不当:退職届を提出したこと自体を理由とした懲戒処分(出勤停止)は、正当な理由がなく違法となる可能性が高いです。退職は労働者の権利であり、それを理由に不利益な処分を行うことはできません。
自宅待機期間中にやるべきこと
自宅待機中にやっておくべきこと:
- 自宅待機命令の内容を書面で確認する(メール等で証拠を残す)
- 退職後の手続き準備(健康保険、年金、失業保険)
- 転職活動の開始(履歴書・職務経歴書の作成、求人検索)
- 会社からの貸与物の整理と返却準備
- 必要な書類(離職票、退職証明書等)の発行を依頼
まとめ:自宅待機でも給料は発生する
退職届を提出した後に自宅待機を命じられても、退職日までの給料は原則として支払われます。会社の都合で出勤させないのであれば、その責任は会社にあります。
有給休暇が残っている場合は、自宅待機ではなく有給消化を希望する方が100%の給与が保障されるため有利です。自宅待機期間中は退職後の準備に充てて、次のステップにスムーズに進みましょう。
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よくある質問
退職届を出した後に「もう来なくていい」と言われました。給料はどうなりますか?
退職届提出後、退職日までの期間に会社から自宅待機を命じられた場合、その期間の給料は原則として全額支払われます。会社の都合で就労させないのは「使用者の責めに帰すべき事由」に該当し、労働基準法第26条により平均賃金の60%以上の休業手当の支払い義務があります。民法上は全額の賃金請求権があります。
自宅待機と有給休暇はどう違いますか?
自宅待機は会社命令による休業であり、労働者の有給休暇とは異なります。自宅待機期間中に有給休暇を使わせる(有給休暇を強制消化させる)ことは原則として認められません。有給休暇は労働者が自ら時季を指定して取得するものです。
退職代行を使ったら自宅待機になりますか?
退職代行を利用した場合、会社が退職日までの出勤を免除して自宅待機とするケースは少なくありません。この場合でも退職日までの給料は発生します。また、退職代行の利用に際して有給休暇の消化を希望することも可能です。
