警備業界は慢性的な人手不足が深刻な業界です。「辞めたい」と伝えても「現場に穴が開く」「損害賠償する」と脅され、退職を認めてもらえないケースが後を絶ちません。
しかし、警備員にも退職の権利は保障されています。警備業法は警備会社に対する業務規制であり、労働者個人の退職の権利を制限する法律ではありません。この記事では、警備員が退職代行を使って確実に辞める方法を解説します。
警備員の退職が難しい理由
1. 慢性的な人手不足
警備業界は高齢化と若手の採用難により、常に人手不足の状態です。一人が辞めると現場のシフトが回らなくなるため、「辞めるな」という圧力が非常に強い業界です。しかし、人員配置は会社の経営判断であり、労働者の退職を制限する法的根拠にはなりません。
2. 24時間シフト制の拘束
施設警備では24時間勤務(当務)が一般的です。勤務と休みが交互に入るシフトのため、「退職届を出すタイミングがわからない」「いつ辞められるのかわからない」と感じる方がいます。しかし、退職届は勤務日に関係なく提出可能であり、提出してから2週間で退職が成立します。
3. 損害賠償の脅し
「お前が辞めたら現場に穴が開く。損害賠償を請求するぞ」という脅しは、警備業界で頻繁に見られます。しかし、退職は労働者の正当な権利であり、通常の退職で損害賠償が認められることは極めて稀です。
4. 研修費用の返還請求
警備業法では新任教育(20時間以上)と現任教育(年間10時間以上)が義務付けられています。これらの費用を退職時に請求してくる会社がありますが、法的に問題のある主張です。
警備員の退職に関する法的根拠
民法627条:退職届から2週間で退職成立
民法627条1項:「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
正社員の警備員であれば、退職届を提出してから2週間で退職が成立します。会社や現場の上司の承諾は法的に不要です。
警備業法と退職の関係
警備業法は「警備業」を規制する法律であり、警備会社に対する規制です。労働者である警備員個人の退職の権利を制限するものではありません。
警備業法上の主な規制(会社側の義務):
- 警備員指導教育責任者の配置義務(会社の責任)
- 新任教育・現任教育の実施義務(会社の責任)
- 警備員名簿の備付義務(会社の責任)
- 制服の管理義務(会社の責任)
これらはすべて会社側の義務であり、労働者の退職を制限するものではありません。
警備員指導教育責任者の退職
「警備員指導教育責任者」の資格を持ち、その事業所の責任者として選任されている方は、退職すると会社はその営業所の警備業務に支障をきたす可能性があります。しかし、後任の確保・選任は会社の責任であり、責任者であることを理由に退職を拒否することはできません。退職届を出してから2週間の猶予期間中に、会社が後任を手配すべきです。
研修費用の返還請求は違法の可能性が高い
警備会社が退職時に「研修費用を返還しろ」と請求するケースがありますが、これは法的に問題があります。
新任教育・現任教育は会社の法定義務
警備業法第21条は、警備会社に対して警備員への教育を義務付けています。新任教育(20時間以上)も現任教育(年間10時間以上)も、会社が法律上実施しなければならないものです。
法定義務の費用を労働者に転嫁することは問題があります。会社が法律上実施しなければならない教育の費用を、退職時に労働者に請求することは、労働基準法16条(違約金の禁止)に違反する可能性が高いです。もし請求された場合は、弁護士に相談してください。
警備員の退職代行ケーススタディ
ケース1:損害賠償を脅されていた施設警備員
状況
Aさん(45歳・正社員)は商業施設の警備に従事。腰痛の悪化で長時間の立哨がつらくなり退職を申し出たが、隊長から「辞めたら現場に穴が開く。クライアントへの損害賠償はお前が払え」と脅された。
退職代行の利用
退職エクスプレスに12,800円で依頼。退職届を会社の人事部宛にメール・電話通知・郵送で送達。損害賠償の脅しには法的根拠がないことが明確となり、2週間後に退職が成立。残っていた有給休暇も消化できた。
ケース2:研修費用の返還を求められた新人警備員
状況
Bさん(30歳・正社員)は警備会社に入社して3ヶ月。新任教育の費用15万円を返還しないと辞められないと言われた。給料も手取り18万円で生活が厳しく、返還できる余裕はなかった。
退職代行の利用
退職エクスプレスに12,800円で依頼。退職届を送達するとともに、新任教育は警備業法上の法定義務であり、その費用を労働者に転嫁することは労働基準法16条に抵触する可能性がある旨を伝えた。会社は返還請求を撤回し、退職が成立した。
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警備員退職時の注意点
制服・装備品の返却
警備業法により、警備会社は制服の管理義務があります。退職時には制服(上下・帽子・ネクタイ等)、警棒、誘導灯、無線機、IDカードなどを返却する必要があります。退職後に郵送で返却できますので、退職届に「貸与物は後日郵送にて返却いたします」と明記しましょう。
鍵・セキュリティカードの返却
施設の鍵やセキュリティカードは速やかに返却してください。紛失した場合は正直に報告してください。鍵の紛失による費用請求は、故意や重過失がない限り全額負担する必要はありません。
資格証の取り扱い
施設警備業務検定、交通誘導警備業務検定などの資格証は個人のものです。会社が保管している場合は返却を求めてください。退職しても資格は有効です。
退職後のキャリア選択肢
- 別の警備会社への転職:待遇や労働環境が良い会社を選び直す
- 施設管理・ビルメンテナンス:警備経験を活かせる隣接業種
- ドライバー・配送業:体力を活かせる仕事
- 工場・製造業:シフト勤務の経験が活かせる
- マンション管理人:日勤のみで体力的な負担が少ない
退職エクスプレスの料金
- パート・アルバイト:9,800円
- 正社員・契約社員:12,800円
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よくある質問
警備員でも退職代行を使えますか?
使えます。警備員も一般の労働者と同じく、民法627条に基づき退職届を提出すれば2週間で退職が成立します。警備業法は警備会社に対する規制であり、労働者の退職の権利を制限するものではありません。
警備の現場に穴が開くと損害賠償を請求されますか?
通常、請求されません。現場の人員配置は警備会社の責任であり、個々の警備員が損害賠償を負うケースは極めて稀です。「辞めたら損害賠償」という脅しには法的根拠がないのが通常です。
研修費用(新任教育・現任教育)の返還を求められますか?
警備業法で義務付けられている新任教育・現任教育の費用は、会社が負担すべき法定義務です。この費用を退職時に労働者に請求することは、労働基準法16条(違約金の禁止)に違反する可能性が高いです。
