退職代行を使おうと思ったとき、「退職日はいつになるのだろう」と不安に感じる方は少なくありません。すぐに辞められるのか、2週間は待たなければならないのか、有給休暇との関係はどうなるのか——退職日の決まり方を正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、退職代行利用時の退職日がどのように決まるのか、民法の規定や有給消化との関係、希望退職日の設定方法まで法的根拠とともに詳しく解説します。

退職日を決める法律上のルール|民法627条

退職日を理解するために、まず民法627条の規定を確認しましょう。この条文が退職日の基本的な枠組みを定めています。

民法627条1項の内容

民法627条1項は「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めています。

つまり、正社員のように期間の定めのない雇用契約の場合、退職届が会社に届いてから2週間後に退職が成立するということです。これは会社が同意するかどうかに関わらず、法律によって認められた労働者の権利です。

2週間のカウント方法

2週間の起算日は、退職届が会社に「到達」した日の翌日からカウントします(民法97条・民法140条)。例えば4月1日に退職届が届いた場合、4月15日が退職日となります。土日祝日も含めたカレンダー上の14日間です。

到達主義とは:民法97条により、意思表示は相手に「到達」した時点で効力を発生します。退職届の場合、会社がメールを開封したかどうかではなく、メールが届いた時点で到達したとみなされます。退職エクスプレスではメール・電話・郵送の3手段で送達するため、到達の事実を確実に証明できます。

退職日のパターン別解説

退職日は、雇用形態や有給休暇の残日数、会社との合意の有無によって変わります。代表的なパターンを見ていきましょう。

パターン1:有給休暇が14日以上残っている場合

最も理想的なケースです。退職届送達の翌日から有給休暇を取得し、有給消化期間の終了日を退職日とすることができます。出社は一切不要で、給与も満額支給されます。

例えば有給休暇が20日残っている場合、退職届到達の翌日から20営業日分の有給を消化し、その最終日を退職日とすることで、約1か月後の退職となります。この間は出社しなくても給与が発生します。

パターン2:有給休暇が14日未満の場合

有給休暇が数日しかない場合でも、有給消化後に欠勤扱いとすることで退職日まで出社不要とするケースが一般的です。欠勤分の給与は発生しませんが、出社する必要はありません。

パターン3:有給休暇がない場合

有給休暇が全くない場合でも、退職届到達日から2週間後に退職は成立します。この間は欠勤扱いとなるため給与は発生しませんが、法律上、出社を強制されることはありません。

パターン4:会社が即日退職に合意する場合

会社側が即日退職に合意した場合は、退職届到達日を退職日とすることも可能です。実務では、退職代行を利用したケースの多くで会社側がスムーズに合意し、2週間を待たずに退職が成立しています。

希望退職日の設定方法

退職代行を利用する際、退職届に記載する「希望退職日」をどう設定するかは重要なポイントです。以下の要素を考慮して決めましょう。

有給休暇の残日数を確認する

まず有給休暇の残日数を確認します。給与明細や勤怠管理システムで確認できることが多いです。正確な日数がわからない場合は、退職届に「残有給休暇の全日数を消化した上で退職する」と記載することも可能です。

社会保険料を考慮する

退職日を月末にするか月中にするかで、社会保険料の負担が変わります。月末退職の場合、退職月まで会社の社会保険に加入した状態が続くため、会社が保険料の半額を負担してくれます。月中退職の場合は、退職日の翌日から国民健康保険・国民年金に切り替える必要があり、全額自己負担となります。

注意:月末の1日前(例:4月29日)を退職日にすると、4月分の社会保険料は会社負担にならず、自分で国民健康保険・国民年金に加入して支払う必要があります。特別な事情がなければ月末退職(例:4月30日)を選ぶことをおすすめします。

ボーナス支給日を考慮する

ボーナスの支給日が近い場合、支給日以降を退職日に設定することで、ボーナスを受け取ってから退職できる可能性があります。ただし、ボーナスの支給条件は就業規則によって異なるため、確認が必要です。

契約社員・パート・アルバイトの退職日

雇用形態によって、退職日の決まり方に違いがあります。期間の定めがある雇用契約(有期雇用契約)の場合は、民法628条が適用されます。

有期雇用契約の場合

契約社員やパート・アルバイトで契約期間が定められている場合、原則として契約期間の途中で一方的に退職することはできません。ただし、民法628条により「やむを得ない事由」がある場合は即時解約が認められます。パワハラやセクハラ、労働条件の相違などはやむを得ない事由に該当します。

契約期間が1年を超えている場合

労働基準法137条により、契約期間の初日から1年を経過した日以降は、いつでも退職できます。この場合、2週間の予告期間は不要で、即日退職も法律上可能です。

契約更新を繰り返している場合

契約更新が繰り返されており実質的に期間の定めのない雇用と同視できる場合は、民法627条が適用される可能性があります。この場合、2週間前の届出で退職可能です。

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退職エクスプレスなら、有給休暇や社会保険料を考慮した最適な退職日の設定をサポートします。パート・アルバイト9,800円、正社員・契約社員12,800円。

就業規則の「1か月前に届出」は有効か

多くの会社の就業規則には「退職する場合は1か月前(または3か月前)に届け出ること」と記載されています。この規定と民法627条の関係はどうなるのでしょうか。

民法627条が優先される

民法627条は強行規定と解する見解が有力であり、就業規則で2週間より長い予告期間を定めても、労働者に対して拘束力を持たないとする判例・学説が主流です。つまり、就業規則に「1か月前」と書いてあっても、法律上は2週間前の届出で退職できます。

実際に、退職代行を利用する方の多くは就業規則の予告期間に関わらず、民法627条の2週間ルールに基づいて退職届を提出しています。これはまったく合法的な退職方法です。

就業規則を守る必要がないケース

これらのケースでは、民法628条の「やむを得ない事由」に該当する可能性が高く、2週間の予告期間すら不要で即日退職が認められる場合があります。

退職日を確定させるまでの流れ

退職代行サービスを利用して退職日が確定するまでの一般的な流れを時系列で解説します。

ステップ1:相談・申込時に希望退職日を伝える

退職代行に申し込む際、希望退職日を伝えます。有給休暇の残日数やボーナス支給日なども共有すると、最適な退職日を提案してもらえます。

ステップ2:退職届に希望退職日を記載して送達

退職届に希望退職日を記載し、メール・電話・郵送の3手段で会社に送達します。法律上は届いてから2週間後が退職日ですが、会社が合意すればそれより早い退職日も可能です。

ステップ3:会社の反応を確認

退職届送達後、会社側の反応を確認します。多くの場合、会社は退職を受理するか、退職日について協議を求めるかのいずれかです。退職代行サービスが会社との連絡を仲介するため、利用者が直接対応する必要はありません。

ステップ4:退職日の確定

最終的に退職日が確定します。会社が合意した場合は合意退職日が退職日となり、合意がない場合でも民法627条により届出から2週間後に法的に退職が成立します。

まとめ:退職代行利用時の退職日は、原則として退職届到達日から2週間後です。ただし有給休暇の消化や会社との合意によって、実質的な退職日は変わります。月末退職にすることで社会保険料の面でも有利になります。退職日の設定に迷ったら、退職代行サービスに相談することをおすすめします。

退職エクスプレス編集部

この記事を書いた人

退職エクスプレス編集部|退職代行サービスに関する正確な情報を、法的根拠に基づいてお届けします。退職に悩む全ての方が、安心して次の一歩を踏み出せるようサポートします。

本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律相談ではありません。個別の事案については弁護士や各公的機関にご相談ください。退職エクスプレスは退職届の作成・送付・電話通知による退職意思の伝達を代行するサービスであり、会社との交渉は行いません。

よくある質問

退職代行を使ったら最短でいつ退職できますか?

法律上は退職届が会社に届いてから2週間後が退職日となります(民法627条)。ただし有給休暇が残っていれば届いた翌日から出社不要となり、実質的に即日退職と同じ状態になります。

退職日を自分で指定できますか?

はい、退職届に希望退職日を記載できます。ただし民法627条の2週間ルールがあるため、届出日から2週間以降の日付を指定するのが原則です。会社が合意すれば2週間未満での退職も可能です。

退職日と退職届の送達日は違いますか?

異なります。退職届の送達日は会社に届いた日であり、退職日は実際に雇用契約が終了する日です。民法627条により、送達日から最短2週間後が退職日になります。

月末退職と月中退職ではどちらが得ですか?

月末退職の方が社会保険料の観点で有利なケースが多いです。月中退職の場合、退職月の社会保険料は自己負担となり、国民健康保険・国民年金への切り替えが必要になります。