退職代行を使った後、上司や同僚が突然自宅に来る——想像しただけで恐怖を感じる方もいるでしょう。実際にこのようなケースは多くはありませんが、ゼロではありません。
この記事では、退職代行を利用した後に会社の人が自宅を訪問してきた場合の具体的な対処法を解説します。応対義務の有無、訪問の違法性、警察への通報基準、法的措置まで詳しく紹介します。
家に来るケースはどのくらいあるのか
まず安心してほしいのは、退職代行を利用した後に会社の人が自宅を訪問してくるケースは全体の数%程度と非常に稀だということです。
訪問が起きやすいケース
自宅訪問が起きやすいのは、以下のような場合です。
- 小規模企業・家族経営の会社:社長と従業員の距離が近く、個人的な感情で行動するケース
- 強い引き止め意思がある場合:人手不足で退職されると業務が回らなくなる場合
- 上司が退職代行に反発している場合:「直接話すのが筋だ」と考える上司が訪問してくるケース
- 安否確認の意図がある場合:退職届が突然届いたため、本人の安全を心配して訪問するケース
訪問が起きにくいケース
大企業や人事部門がしっかりしている会社では、退職届の内容に従って粛々と手続きを進めるため、自宅訪問はほぼ起きません。コンプライアンス意識の高い会社ほど、個人の自宅への訪問はリスクと考えるためです。
家に来ても応対する義務はない
結論から言えば、会社の人が自宅に来ても応対する法的義務は一切ありません。
退職届は既に送達済み
退職届が会社に到達した時点で、退職の意思表示は完了しています(民法97条)。追加の説明や話し合いをする法的義務はなく、自宅訪問に応じる必要はありません。
自宅は私的空間
自宅は住居権によって保護された私的空間です。誰を招き入れるかは居住者が決める権利があり、望まない訪問者を拒否することは当然の権利です。
居留守を使って問題ない
インターホンに応答しない、ドアを開けない、居留守を使う——いずれも問題ありません。応対しないことで法的な不利益を受けることはありません。
ポイント:「応対しないと失礼では」と感じる方もいるかもしれませんが、退職届に「直接の連絡はお控えください」と記載している以上、その意向を無視して訪問してくる方が非常識です。応対しないことに罪悪感を持つ必要はありません。
訪問された場合の具体的な対処法
実際に自宅を訪問された場合の対処法を状況別に解説します。
対処法1:インターホン越しに断る
インターホンに応答する場合は、ドアを開けずにインターホン越しに「退職届の通りですので、お引き取りください」と伝えましょう。それ以上の会話は不要です。「直接話したい」と言われても、「すべて退職届に記載しています。お引き取りください」と繰り返すだけで十分です。
対処法2:居留守を使う
インターホンに応答せず、居留守を使うことも有効な対処法です。しばらく待てば帰っていくケースがほとんどです。
対処法3:退職代行サービスに連絡する
自宅に来たことを退職代行サービスに連絡しましょう。退職代行サービスから会社に対して「本人への直接訪問を中止してください」と連絡してもらえます。
対処法4:記録を残す
訪問の事実を記録しておくことが重要です。訪問日時、訪問者の氏名、訪問の様子(インターホンのカメラ映像があれば保存)、発言内容などをメモしておきましょう。後日、法的措置を取る場合の証拠になります。
訪問が違法になるケース
会社の人が自宅を訪問すること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、以下のケースでは法律に抵触する可能性があります。
不退去罪(刑法130条後段)
退去を求めたにもかかわらず、その場に居座り続ける行為は「不退去罪」に該当します。刑法130条後段は「要求を受けたにもかかわらず、これらの場所から退去しなかった者」を3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処すると定めています。
住居侵入罪(刑法130条前段)
住人の意思に反して敷地内に立ち入る行為は「住居侵入罪」に該当する可能性があります。マンションの共用部分への立ち入りも、住人の同意なく長時間滞在する場合は問題になり得ます。
ストーカー規制法
繰り返し自宅を訪問する行為は、ストーカー規制法の「つきまとい等」に該当する可能性があります。特に、拒否の意思を示しているにもかかわらず繰り返し訪問する場合は、警察への相談を検討してください。
脅迫罪(刑法222条)
訪問時に「辞めたら損害賠償を請求する」「家族にも迷惑がかかるぞ」などの脅迫的な発言があった場合は、脅迫罪に該当する可能性があります。
重要:身の危険を感じた場合は、迷わず110番通報してください。「会社の人が来ただけで通報していいのか」と躊躇する方がいますが、恐怖を感じている時点で通報する理由は十分にあります。
自宅訪問が心配な方もご相談ください
退職エクスプレスでは退職届に連絡制限・訪問制限を記載。パート・アルバイト9,800円、正社員・契約社員12,800円。
警察への通報基準
以下のような状況では、警察に通報することを検討してください。
- 退去を求めたのに帰らない場合
- ドアを叩き続ける、大声を出すなどの行為がある場合
- 脅迫的な発言をされた場合
- 深夜や早朝に訪問してきた場合
- 複数回にわたり訪問が繰り返される場合
- 身の危険を感じた場合
通報する際は、110番に電話し「退職した会社の人が自宅に来て帰らない(または繰り返し来る)ので、対応をお願いしたい」と伝えてください。警察官が来てくれれば、訪問者はほぼ確実に帰ります。
訪問を未然に防ぐ対策
自宅訪問を未然に防ぐためにできる対策を紹介します。
退職届に訪問制限を明記する
退職届に「自宅への訪問はお控えください」と明記しておきましょう。退職エクスプレスでは、連絡制限の一環としてこの趣旨を退職届に含めています。
オートロックマンションに住んでいる場合
オートロックマンションに住んでいる場合は、インターホンに応答しなければ建物に入ることができないため、物理的に訪問を防げます。
一時的に外出する
退職届送達直後の数日間は、自宅にいると訪問される可能性が最も高い時期です。可能であれば、この期間は友人宅や実家に滞在する、外出しておくなどの対策も有効です。
訪問後にやるべきこと
訪問を受けた後にやるべきことをまとめます。
- 退職代行サービスに報告する:訪問の事実を伝え、会社に対する連絡中止の要請を依頼する
- 記録を残す:訪問日時、訪問者、発言内容などを記録しておく
- 証拠を保存する:インターホンの映像、防犯カメラの映像があれば保存する
- 必要に応じて弁護士に相談する:悪質な場合は法的措置を検討する
まとめ:退職代行を使った後に会社の人が自宅に来ても、応対する義務は一切ありません。居留守を使う、インターホン越しに断る、着信拒否するなどの対処法で問題ありません。退去を求めても帰らない場合や、繰り返し訪問される場合は、警察への通報や弁護士への相談を検討してください。自宅訪問が起きるケースは全体の数%と非常に稀ですので、過度に心配する必要はありません。
よくある質問
退職代行を使ったら上司が家に来ました。対応しなければなりませんか?
いいえ、対応する義務はありません。ドアを開ける必要もなく、居留守を使っても問題ありません。退職届は既に送達済みであり、追加のやり取りは法的に不要です。
会社の人が家に来るのは違法ですか?
1回の訪問で安否確認目的であれば、直ちに違法とはなりません。しかし、何度も繰り返す場合や、退去を求めたのに居座る場合は、住居侵入罪やストーカー規制法に抵触する可能性があります。
家に来た場合、警察に通報していいですか?
はい、不安を感じたら警察に通報して問題ありません。特に、退去を求めたのに帰らない場合、夜間に訪問してきた場合、脅迫的な言動がある場合は、迷わず110番通報してください。
