退職代行を利用したのに、会社から直接電話やメールが来る——これは退職代行を利用した方の一定数が経験するトラブルです。せっかく直接のやり取りを避けるために退職代行を使ったのに、会社から連絡が来ると不安や戸惑いを感じるのは当然です。
この記事では、退職代行を使った後に会社から直接連絡が来た場合の具体的な対処法を、連絡手段別・状況別に解説します。
なぜ退職代行を使ったのに会社から連絡が来るのか
退職届に「本人への直接連絡はお控えください」と記載しているにもかかわらず、会社から連絡が来るケースがあります。その理由を理解しておきましょう。
理由1:本人確認のため
会社が退職届を受け取った際、「本当に本人の意思による退職なのか」を確認したいと考えるケースです。退職代行という第三者を介しているため、本人の意思確認をしたいという動機は理解できます。ただし、退職届に本人の署名がある以上、追加の確認は必要ありません。
理由2:退職を引き止めたい
退職届を受け取った上司や人事が、直接話をして引き止めたいと考えるケースです。特に人手不足の会社や、優秀な社員の退職を防ぎたい会社でよく見られます。
理由3:事務的な連絡事項がある
退職に伴う事務手続き(離職票の送付先確認、健康保険証の返却方法など)について連絡してくるケースです。これは悪意のない連絡ですが、退職代行を通じて対応すれば直接のやり取りは不要です。
理由4:嫌がらせ・報復
退職代行の利用に反発し、意図的に嫌がらせとして繰り返し連絡してくるケースです。最も悪質なパターンであり、法的対処が必要な場合があります。
重要:会社からの連絡がどのような理由であっても、応答する法的義務はありません。退職届が会社に到達した時点で退職の意思表示は成立しており、追加のやり取りは法的に不要です。
連絡手段別の対処法
会社からの連絡手段ごとに、具体的な対処法を解説します。
電話が来た場合
会社からの電話に出る義務はありません。以下の対処法を取りましょう。
- 着信拒否:会社の電話番号を着信拒否設定にしましょう。会社の代表番号、上司の携帯番号など、複数の番号を登録しておくと安心です。
- 非通知も拒否:非通知でかけてくるケースもあるため、非通知着信も拒否設定にしておきましょう。
- 留守電の確認:留守電にメッセージが残されている場合は内容を確認してください。事務的な連絡の場合は、退職代行サービスを通じて回答できます。
メールが来た場合
会社からのメールに返信する義務はありません。ただし、内容は確認しておくことをおすすめします。
- 内容を確認する:事務的な連絡(書類の送付先確認など)であれば、退職代行サービスに伝えて対応してもらいましょう。
- 脅迫的な内容の場合:「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」などの脅迫的な内容のメールは、スクリーンショットで保存し、証拠として残しておいてください。
- 返信しない:基本的にメールへの返信は不要です。返信すると直接のやり取りが始まってしまいます。
LINEやSNSで連絡が来た場合
上司や同僚が個人のLINEやSNSで連絡してくるケースがあります。
- 既読をつけない:LINEの場合、既読をつけると返信のプレッシャーが生まれます。通知だけ確認して開かないことも選択肢です。
- ブロックする:繰り返し連絡が来る場合は、ブロックしましょう。
- スクリーンショットを保存する:脅迫的な内容の場合は証拠として保存しておいてください。
自宅に来た場合
まれに、上司や同僚が自宅を訪問してくるケースがあります。
- 応対する義務はない:ドアを開ける義務はありません。インターホン越しに「退職届の通りですので、お引き取りください」と伝えれば十分です。
- 居留守を使ってもよい:対応したくない場合は居留守を使っても問題ありません。
- 繰り返す場合は法的措置:何度も訪問してくる場合は、ストーカー規制法や住居侵入罪に該当する可能性があります。
着信拒否しても問題ない法的根拠
「着信拒否したら何か問題になるのでは?」と不安に思う方がいますが、法的に全く問題ありません。
連絡に応じる義務はない
退職届を提出した後、会社からの連絡に応じる法的義務はありません。退職の意思表示は退職届の到達により完了しており(民法97条)、追加のコミュニケーションは法的に不要です。
退職届に連絡制限を明記している
退職エクスプレスの退職届には「本人への直接連絡はお控えください」と明記しています。この記載があるにもかかわらず連絡してくる会社は、退職届の内容を無視していることになります。
労働契約終了後は指揮命令関係がない
退職届提出後(有給消化期間中も含む)、労働者は会社の指揮命令に従う義務がありません。有給消化中は労働義務が免除されているため、会社からの連絡に応じる必要はありません。
会社からの連絡が心配な方もご相談ください
退職エクスプレスは退職届に連絡制限事項を記載。パート・アルバイト9,800円、正社員・契約社員12,800円。
会社からの連絡が止まらない場合の法的対処
着信拒否やブロックをしても、会社が別の手段で繰り返し連絡してくる場合は、法的な対処が必要です。
ステップ1:退職代行サービスを通じて連絡中止を要請
まず退職代行サービスに連絡し、会社に対して連絡の中止を要請してもらいましょう。書面(メール)で「本人への直接連絡を直ちに中止してください」と通知します。
ステップ2:弁護士から警告書を送付
退職代行からの要請に応じない場合は、弁護士に依頼して法的な警告書を送付してもらいましょう。弁護士名義の警告書は会社に強いプレッシャーを与え、多くの場合はこの段階で連絡が止まります。
ステップ3:法的措置を取る
それでも連絡が止まらない場合は、以下の法的措置を検討してください。
- ストーカー規制法に基づく警告申出(警察)
- 損害賠償請求(精神的苦痛に対する慰謝料)
- 接近禁止の仮処分(裁判所)
連絡が来た場合にやってはいけないこと
会社から連絡が来た場合に、やってはいけないことを確認しておきましょう。
- 感情的に応答する:怒りや不安から感情的な返信をすると、状況が悪化する可能性があります
- 退職を撤回する:引き止めの圧力に屈して退職を撤回すると、根本的な問題は解決しません
- 出社してしまう:「一度話し合おう」と言われても出社する必要はありません
- 脅迫的な連絡を無視する:脅迫的な内容は証拠として保存し、弁護士に相談してください
まとめ:退職代行を使った後に会社から直接連絡が来ても、応答する法的義務はありません。着信拒否・ブロックで対応して問題ありません。事務的な連絡は退職代行サービスを通じて対応し、脅迫的な連絡は証拠を保存して弁護士に相談してください。執拗な連絡が続く場合は法的措置も検討しましょう。
よくある質問
退職代行を使ったのに会社から電話が来ました。出る必要がありますか?
出る義務はありません。退職届に「本人への直接連絡はお控えください」と記載していますので、会社からの連絡に応答する法的義務はありません。着信拒否で対応しても問題ありません。
会社からの連絡を完全に遮断しても大丈夫ですか?
基本的に問題ありません。ただし、離職票の送付先確認など事務的な連絡の場合もあるため、退職手続きが完了するまではメールやLINEのメッセージだけ確認しておくと安心です。
会社が何度も連絡してきます。どうすればいいですか?
退職代行サービスを通じて連絡中止を要請してください。それでも止まらない場合は、弁護士に相談して法的措置(警告書の送付など)を検討してください。執拗な連絡はハラスメントに該当する可能性があります。
